介護

特養は候補外?在宅介護の限界で選んだ現実的な施設とは

親の在宅介護が限界となり、施設を探し始めたとき、私は特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」を最初から選択肢に入れていませんでした。その判断には、自分なりの理由がありました。しかし、振り返ってみると「もっと早く情報を集めていれば違う選択ができたのでは」と思うこともあります。

今回は、私がなぜ特養を候補に入れなかったのか、当時の心境や判断の背景、そして後から感じたことについてお話ししたいと思います。

施設を探すとき、特養は最初から除外していた

介護施設を探し始めた頃、特養という選択肢は頭にありませんでした。理由は単純で、「要介護1では入所できない」と思い込んでいたからです。実際、特養の入所基準としては要介護3以上が原則であり、当時の母はまだ要介護1でした。そのため、特養は「どうせ無理だろう」と最初から除外してしまいました。

たしかに、特養は公的な施設であり、費用も月10万円前後と比較的安価で、長期的に見ればとても魅力的な選択肢です。しかし、「例外的にしか入れない」「要介護1では何年も待たされる」といったイメージがありました。

私の状況としては、「待っていられる」余裕はありませんでした。母の状態が日に日に悪化しており、とにかく早く施設に入れたいという思いでいっぱいでした。そのため、「すぐに入れるところ」を最優先に探すことにしたのです。

在宅介護を続ける余裕がなかった

特養を選択肢に入れなかったもうひとつの理由は、在宅介護の限界が見えていたからです。

母は認知症が進行しており、日々の生活が本当に大変でした。たとえば、同じ話を何度も繰り返したり、怒り出したりすることもありました。私が何かを注意すると、母はその場では反応するものの、翌日にはすべて忘れてしまいます。介護する側としては、精神的にも体力的にも消耗する日々でした。

ある日は、外出先で迷子になり、交番のお世話になることもありました。夜中に「ここは私の家じゃない」と騒ぎ出し、落ち着かせるのに何時間もかかったこともあります。さらには、私の顔を見て「あなた、どちら様?」と言われたときは、正直ショックで涙が出そうになりました。

そんな状態の中、「何年も待てば特養に入れるかもしれない」という選択肢は現実的ではありませんでした。とにかく、1日でも早く安心して生活できる場所に入ってもらう必要があったのです。

すぐに入れるグループホームを選択

こうした状況のなかで、最終的に私が選んだのはグループホームでした。

グループホームは、認知症の高齢者を対象にした小規模な施設で、要介護1からでも入所可能です。母の状態にも合っており、タイミングよく空きがある施設を見つけることができました。入所までの手続きも比較的スムーズで、数週間で入居することができました。

ただし、費用は特養よりも高く、月額18〜19万円ほどかかります。家計への負担は大きかったですが、心身ともに限界だった私は「このまま在宅介護を続けたら、共倒れする」と思っていたため、他の選択肢は考えられませんでした。

当時の私は、「とにかく今を乗り切ること」が最優先でした。将来の費用のことよりも、今すぐ安心して過ごせる場所を見つけることが大事だったのです。

もし特養を候補に入れていたら……?

後になって考えると、要介護1でも例外的に入所できる特養があったかもしれません。中には、空きが出たタイミングや地域によっては、早めに入れるケースもあります。実際、後に母が特養に入所できたのです。

「もし、最初から特養を調べて申し込んでいたら、もっと早く入れたのでは?」という思いがないわけではありません。しかし、当時の私にとっては「数ヶ月待つ」という選択すら現実的ではありませんでした。

それに、仮に特養の順番を待っている間に在宅介護を続けていたとしたら、自分自身が心身ともに耐えきれなかった可能性もあります。

介護施設探しに「正解」はない

今回の経験から学んだことは、介護施設探しには「これが正解」という答えがないということです。

たしかに、特養は費用面や長期的な安心感から見れば、非常に魅力的な選択肢です。しかし、それが「今」利用できるとは限りません。介護する側の状況や、本人の状態、地域の空き状況によって最適な選択は変わってきます。

在宅介護が限界なら、費用が多少かかっても「すぐに入れる施設」を選ぶのも、正しい判断だと思います。大切なのは、「理想の施設」ではなく、「現実的に入れる施設」を選ぶことです。

私の場合、特養を最初から除外したのは、ある意味では情報不足でした。しかし、当時の私には「今すぐ何とかしないといけない」という切迫した思いがありました。その判断が間違っていたとは思っていません。

まとめ

  • 要介護1では特養に入れないと思い込み、最初から候補に入れなかった
  • 在宅介護の限界が来ており、早急に施設を見つける必要があった
  • 結果的にグループホームに入所したが、費用は月18〜19万円と高額だった
  • 後から特養に入所できたが、「最初から申し込んでいたら…」という後悔もある
  • 介護施設選びは、「理想」よりも「現実」に即した判断が何よりも大切

介護は本当に正解のない世界です。どんな判断も、状況次第で正しくも間違ってもあり得ます。でも、自分自身が納得できる選択をすること、それこそが一番大事なのではないでしょうか。

この記事を書いた人
KEI
KEI

認知症の母の介護をきっかけに、お金を守りつつ自分らしく生きる方法を模索してきました。
このブログでは、介護・資産形成・FIREをテーマに、役立つ情報を発信しています。
・認知症介護のリアル
・介護費用のやりくりと資産を守る工夫
・FIREを目指す生活設計
介護は大変ですが、必要以上に自分を犠牲にせず、賢く選択していくことも大切です。
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