先日、電撃オンラインの記事で紹介されていた漫画『ひとりでしにたい』。タイトルのインパクトに惹かれて、1巻と2巻を読んでみました。
物語は、叔母の孤独死をきっかけに、自分の老後について真剣に考え始めた主人公・鳴海の視点で進んでいきます。記事では「TBS『ラヴィット!』子供に読ませたい漫画第1位」と紹介されていましたが、私のような40代にも響く内容だと感じました。
私は独身で、結婚願望も特にありません。孤独死は他人事ではなく、将来への漠然とした不安がゼロというわけでもないので、「終活」や「老後」について考えるきっかけになればと読み始めました。
あらすじ:人生の最期と向き合う物語
『ひとりでしにたい』の主人公は、美術館の学芸員として働く30代独身女性・鳴海。身近な人の死を通じて、人生の終わり方や老後の過ごし方について向き合い始めます。
作中では、介護や家族関係、住まいの選択、金銭的な備えなど、老後にまつわる現実が丁寧に描かれており、終活という重いテーマでありながらも、どこか自然体で読めるバランスが印象的です。
「介護は親のお金で」が基本──松岡氏とのやり取りに共感
特に心に残ったのは、鳴海の同僚・松岡氏とのやり取りでした。彼女は認知症の親を特別養護老人ホーム(特養)に入れた経験があり、私自身と似た状況ということもあって、思わずシンパシーを感じました。
作中で松岡氏は、介護の愚痴を鳴海に漏らしたことを謝るのですが、鳴海は「もっと言えよ」と返します。この自然なやり取りに、思わずうなずいてしまいました。
誰かに話すことで心が軽くなることって、本当にあるんですよね。私も介護中、職場の同僚に少し話を聞いてもらっただけで救われたことが何度もありました。
また、鳴海が「自分の老後の前に、親の老後資金も必要?」と不安を口にした際、松岡氏が「その発想、ダメ絶対」ときっぱり止める場面も印象に残っています。
「親の老後のお金や介護の費用は、親のお金でまかなうのが基本」
まさしくその通りで、子どもが自分の生活や将来を犠牲にするのは本末転倒です。私自身も、親の老後が不安で資産形成を始めたクチですが、それは「親に仕送りするため」ではなく、「自分がお金で困らないように」という意味でした。
現実に重なる描写の数々
漫画の中で描かれていたのは、まさに私が介護を経験して感じたことそのものでした。親の年金や貯蓄の範囲で使える施設やサービスを選ぶ。介護保険制度をしっかり活用する。情報を集め、必要であれば専門家に相談する。
私の場合は、運良く母を特養に入所させることができました。介護は「突然やってくる」けれど、「備えておけること」も確かにあると実感しています。
終活という視点にも目を向けたい
この漫画では、介護だけでなく「どんな最期を迎えたいか」「自分らしい老後とは何か」といった終活の視点も描かれています。
私自身、自分の老後についてはまだぼんやりとしか考えていません。でも、この作品を読んで、「今からできる準備って何だろう?」と立ち止まるきっかけになりました。
FIRE(経済的自立・早期退職)を目指す私にとって、「自由な時間をどう使うか」だけでなく、「どう最期を迎えるか」までを含めて、ライフプランを考える視点はとても大切だと感じています。
『ひとりでしにたい』をおすすめしたい人
タイトルには皮肉や挑発的な響きもありますが、実際に描かれているのは、「ひとりで生きる」ことを前提に、どう備えるかを模索する真剣な姿です。
- 独身で老後にふと不安を感じる人
- 親の介護が始まりそう、または始まったばかりの人
- 将来について考えるきっかけが欲しい人
鳴海のように「どうしよう…」と戸惑いながらも、一歩ずつ考え始める姿に、共感できる方は多いのではないでしょうか。
最後に──「どうにかなる」と思える理由
私も老後について不安がないわけではありません。それでも、「なんとかなる」と思えるようになってきたのは、情報を集め、実際に行動し、経験を通じて「備えられることがある」と分かってきたからです。
『ひとりでしにたい』は、そうした“備えることの大切さ”を、自分ごととして考えさせてくれる作品でした。
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